法人が設立されると法人としての活動が開始され、その活動と同時にお金の出入りもスタートします。そこで法人設立後のお金の管理についてステップ別に見ていきたいと思います。
目次
ステップ1:1ヶ月間のお金の流れ(入金と出金)の記録
法人名義の1つの通帳をお財布と考え、可能な限りその1つの通帳に入金と出金を集約すると、記録する手間暇が省けると思います。
その際に、1ヶ月間の入金と支払いの内容をご自身で後からみて内容が分かるように分類して記録します。あまり難しく考えずにおおまかな分類でかまいません。あくまで後で見てご自身で内容が分かれば全く問題ございません。
また個人の生活費は法人の支払いとは別の財布(通帳)で管理します。生活費は社長の個人名義の通帳から引き出し、1ヶ月間でどらくらいの生活費がかかったのかを記録します。生活費も同様におおまかな分類で問題ございません。
法人の入金・支払いは法人の口座で行い、個人の入金・支払いは個人の口座で行いそれぞれの通帳の残高と、入金から支払いを差し引いた残高(前月末に残高があればその残高をプラスする。)が一致していることをご確認下さい。
ステップ2:1ヶ月間の収支の把握
ステップ1で記録した1ヶ月間の入金額から支払額を差し引き、1ヶ月間の収支を把握します。ここでのポイントは、生活費を含めた1ヶ月間の収支を把握するということです。
プラスであれば何か原因(売上の入金、借入)でプラスになったのか。またマイナスになった場合は、売上があといくら増えればよいか、費用がいくら少なければマイナスにならなかったのか等をご自身なりに考えてみます。
ステップ3:四半期の収支の把握
ステップ2の1ヶ月間の収支の把握を四半期繰り返し行い、その収支の金額を横に並べて、四半期を合計してみます。ここでのポイントは、毎月の入金と支払いを同じ基準で分類するということです。おおまかな分類で構いませんが、同じ物差しで分類します。
合計してみてマイナスになっていれば、どの月がマイナスでどの月がプラスであったのか、またはすべての月でマイナスであったのかなどを社長ご自身で分析し、どこをどうすればプラスになるのかを計算してみます。
生活費を含める前でプラスであれば生活費を抑える必要がありますし、生活費の前段階でマイナスであれば、売上があといくらあればプラスになるのか、イレギュラーな支払いの有無や、家賃などの経費があといくら少なければプラスになるのかなどを分析し、生活費を含め全体でプラスになるように考えていきます。
ここまでは数字の感覚を養うため、社長ご自身で行うことをお勧めします。これ以後は社長以外の方が記録してもご自身で数字の感覚が身に付いていれば、その数字の意味を理解し分析することが可能になるかと思います。
ステップ4:数字を意識した行動
毎月の収支を横に並べて四半期で合計してみるとおおまかな会社の収支、社長ご自身の生活費の流れが見えてきます。資金繰りを分析することにより、数字を意識した経営が可能になってくるかと思います。
売上の入金を早めたり、支払いの期間を延ばしたり、売上の見積もりをする際には最低いくらで受注する必要があるか、家賃はいくらの水準が妥当かなどといったことが数字で判断できるようになってきます。また社長ご自身の役員報酬もいくらに設定するのが現状では妥当であるかということもご自身で決定することが可能となってきます。
ステップ5:まとめ
毎月の収支の記録を継続して行い、四半期、半期、1年といった単位で集計していくとよろしいかと思います。とにかく毎月記録していれば、あとはご自身の判断でまとまった単位で合計することが可能となります。お金を管理することにより、数字を意識した経営が可能となり、急な資金不足や赤字受注などをする確率が減少し、その結果として、利益がついていくことに繋がっていくことになるかと思います。
最初が肝心となりますので、まずはご自身でお金の管理を行い、数字の感覚を養うところからスタートいただければと思います。