資産形成の手段として一般的に行われているワンルームマンションを活用した資産形成の仕組みを見ていきます。
目次
1.一般的な仕組み
1)物件選定・資金調達
まずは投資する物件を選定し、金融機関から資金を借入れ物件を購入します。
金融機関から融資を受けられない物件は、投資家は自己資金で購入することになり、資金調達の選択肢が少なくなるため、売却を出口とする場合には売れにくくなる事が予想されます。そのため、金融機関から融資を受けることができる物件であるかどうかがポイントとなります。
2)借入金の返済
物件を購入するために借入金の返済を毎月行っていきます。ワンルームマンションの賃料が返済額より多い場合には、自己資金の負担がなく、借入金が毎月減少していきます。毎月の賃料を原資として返済する以外に、物件を売却しその代金で返済を行うという選択肢もありますが、その際に売却代金より借入金の残債の方が多い場合には、自己資金で返済することになります。
銀行への毎月の返済額を賃料より少なく設定し、また物件を売却するタイミングを、売却代金で借入金を完済できるように設定すれば、自己資金の負担なく投資を行っていくことが可能となります。
3)借入金の完済
物件を保有し続け借入金をすべて返済し終わると、賃料収入が預金として手元に残っていきます。その結果、実物資産である不動産と預金として金融資産が形成されます。また不動産を売却するとその売却代金が銀行口座に入金され、金融資産が形成されます。
ワンルームマンションを活用した資産形成は、このように不動産と金融資産の形成を行っていく手段として一般的に用いられています。
2.ワンルームマンションの効果・特徴
ワンルームマンションの効果・特徴をまとめと以下の通りです。
①借入金の返済が終われば、毎月銀行口座に賃料が入金されるため年金としての効果があります。
②万一のときには、借入金(団体信用保険加入時)の返済がなくなり、ワンルームマンションが資産として残りますので、生命保険と同様の効果があります。
③ワンルームマンションの所有者がお亡くなりになられ、ワンルームマンションの相続税評価は、一般的に預金よりも低い価額で評価されるため、相続税の節税効果があります。
④相続の際、ワンルームマンションは一室であるため、ワンルームマンションを複数個所有している場合には、各相続人に1室ずつ相続することが可能なため、不動産であるにも関わらず相続しやすい財産であるという特徴があります。
⑤ワンルームマンションは一室ごとの保有となるため、複数の部屋を一度に所有する一棟ものの不動産と比較して、管理が容易であり、修繕費の費用も低くなる傾向にあります。
⑥個人でワンルームマンションを所有する場合、その損益は不動産所得となり、給与所得と合計して所得税、住民税が計算されるため、初期費用がかかる物件の購入時などの年は、所得税・住民税の節税(不動産損益がプラスの場合には増税)となる場合があります。
⑦ワンルームマンションは手元に資金がなくても、金融機関からの借入で購入することが可能であり、他人の力(借入金)を借りて、資産運用することができるという特徴(レバレッジ効果)があります。
3.ワンルームマンションのリスク
ワンルームマンションのリスクをまとめと以下の通りです。
①ワンルームマンションは一室であるた空室になると賃料がゼロとなるため、借入金の返済を自己資金で行っていかなければならないというリスクがあります。
②ワンルームマンションも通常の不動産と同じく、不動産価格が下落するというリスクがあります。
③周辺環境の変化や物件が古くなった場合など、賃料が下落するというリスクがあります。
④地震などの天災や事故など、不動産特有のリスクがあります。
⑤ワンルームマンションの居住者は単身者が多いため、賃貸期間が短くなる傾向があり、ハウスクリーニングなどの修繕費のコストが頻繁に発生するというリスクがあります。
⑥金利が上昇した場合、銀行への返済額が増加するというリスクがあります。
⑦有価証券などと比較すると、売却までに時間がかかるという換金性が悪くなるというリスクがあります。
⑧購入時、賃貸時、売却時には業者などへの手数料などが発生するため、有価証券などと比較すると付随費用が高くなるというリスクがあります。
4.まとめ
以上のようにワンルームマンションはー室であるため、空室になると賃料がゼロとなり、借入金の返済ができなくなりますので、ワンルームマンションを活用した資産形成の前提が崩れてしまいます。そのため、利回りだけを見て判断するのではなく、空室リスクが極力少ない物件に投資するということがもっとも重要になってくるかと思います。
空室リスクを抑えることが可能となれば、不動産価格自体の下落リスクも低くなる傾向となるため、不動産業者など物件の目利きができる方を通じて購入すれば、そのリスクも抑えることが可能となりますので、そのポイントさえ押さえておければ、それほど不動産の知識がなくても実践できる資産形成術となり得ます。